何もできないまま終わってしまうのか……。甲子園球場を埋め尽くした阪神ファンの心には、そんな思いがよぎっていたはずだ。 0対3。7回までわずか4安打。沈黙の阪神打線がようやく一矢を報いたのは8回だった。先頭の近本光司の中前安打と四球で作った1死一、二塁。ここで打席に入ったのは、「4番」佐藤輝明だ。 ボール3からの4球目――。ソフトバンクの4番手・松本裕樹の146kmのフォークに食らいつく。弾んだボー ...