「古(いにしえ)の小竹田壮士(しのだおとこ)の妻問ひし菟原処女(うないおとめ)の奧つ城(き)ぞこれ」。万葉集に収められた奈良時代の官人で歌人の田辺福麻呂の歌である。「伝説の小竹田(現在の大阪府和泉市)の若者が求婚した菟原処女の墓です、これは」といった意味。男性2人から求婚された女性が自ら命を絶ち、男性たちも後を追ったという「処女塚(おとめづか)伝説」に基づく。この悲恋の物語は語り継がれ、平安期 ...